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【解説】自分で車の名義変更(所有権留保の解除)をする方法

ローンを組んでクルマを買う人は多いと思います。では、ローンの支払いがすべて終わったらどうしたらいいのでしょうか?

車検証には所有者と使用者の名前が書かれています。現金で買った場合は所有者と使用者は同じ人、つまり自分の名前になっています。ところがローンを組んで買うと、使用者は自分の名前、所有者はローンを組んだ際のファイナンス会社の名前になっていることが一般的です。

 

ローンが終了したらしなければならないこと

所有権留保の解除が必要

所有権留保といって、ローンの支払いが終わるまでは、所有権はファイナンス会社にありますので、使用者が勝手にクルマを売ったり譲ったりできないようになっているのです。そのため、ローンの支払いが終わったら、所有者を自分の名前に変更する手続きをしておかないと、自分のクルマなのに売ることができないということになってしまいます。

名義変更するための選択肢は3つ

ローンの支払いが終わってしばらくすると、ファイナンス会社から「ローン契約終了のお知らせ」といった題名の書類が送られてきます。そこには、所有権留保の解除(名義変更)の手続きが必要であることが書かれています。その方法として、次の3つの選択肢が提示されていることがあります。

① 購入したディーラーに依頼する

クルマを購入したディーラーに連絡すると、変更手続きをやってくれます。その際、サービス(無料)でやってくれることもありますが、費用が数万円かかることが多いです。

② ファイナンス会社の提携する行政書士に依頼する

ファイナンス会社のほうでも、提携する行政書士事務所に依頼することで変更手続きを代行するサービスを提供していることがあります。クルマの登録に関する手続きを専門にする行政書士が手続きをおこないます。費用はやはり1万5千円から数万円かかるでしょう。

③ 自分で変更手続きをする

必要な書類を整えて、自分で陸運局に行って手続きをすることもできます。その場合の費用は、陸運局に支払う印紙代500円だけで済みます。

この記事では、自分で名義変更手続きをする方法を解説していきます。

 

名義変更手続きに必要な書類をそろえよう

ファイナンス会社から送られてくる書類

ファイナンス会社に「自分で手続きする」旨連絡をすると、変更手続きをするために必要な書類がすぐに送られてきます。それが以下の3つです。ファイナンス会社が、名義変更の手続きをあなたに委任するための書類になります。
① 譲渡証明書
② 委任状
③ 印鑑証明書

印鑑証明書は発行日から3か月を過ぎると、変更手続きに使えなくなりますので注意が必要です。届いた時点ですでに発行日からある程度の日数が経過していますので、発行日をよく確認したうえで、早めに手続きに行くようにしましょう。

自分で用意するもの

自分でも用意しなければならないものがあります。以下の4つです。②~④はすでに手元にあると思いますので、あらためて用意するものは①印鑑証明書のみになります。住所地の区役所や市役所などの窓口に行って取得しましょう。ディーラーや行政書士に任せる場合であっても、印鑑証明書については、自分で取りに行く必要があります。
① 印鑑証明書
② 実印
③ 自動車検査証
④ 自動車検査証記録事項

 

自分で手続きをする手順

 東京陸運支局を例に解説

手続きの手順を説明します。各陸運支局によってやり方の細かいところは異なると思いますが、ここでは品川区にある東京陸運支局について説明します。最寄り駅、京浜急行「鮫洲」駅から徒歩7分。警視庁の鮫洲運転免許試験場に隣接しています。
受付時間は、平日の午前8時45分~11時45分と、午後13時~16時ですので、平日の昼間に仕事をしている場合は、仕事を休んで足を運ぶ必要があります。

① C棟(ナンバーセンター)で印紙を購入します
東京陸運支局の建物は、A棟、B棟、C棟の3つに棟に分かれています。着いたらまず、C棟(ナンバーセンター)に行きましょう。いろいろな窓口が並んでいますが、「車検証の名義変更で来た」旨告げると、検査登録印紙代として500円を支払うよう言われます。500円を支払うと、いま買った印紙が貼られた手数料納付書と、変更手続きに必要な申請書、および自動車税申告書が渡されます。これらを持って、次はA棟に行きます。

② A棟(陸運支局事務所)に申請書を提出します
A棟に行って、C棟でもらった申請書に記入をします。この申請書は機械で読み取る方式になっており、鉛筆で記入することが奨励されているようです。ちなみに、記入台には鉛筆とボールペンの両方が置かれています。記入台には記入例が貼られていますが、国土交通省・関東運輸局のホームページにも記入例が掲載されていますので、あらかじめプリントアウトなどして行くと焦らなくて済むかもしれません。

記入が終わったら、持ってきた実印を押して、ファイナンス会社からもらった書類と、自分が持ってきた書類の一式を添えて、1番窓口に提出します。窓口に提出する際、記入漏れや不備があった場合は、その場で指摘されますので、書き足すなどしてあらためて提出します。

書類が受理されると、番号札を渡され、「3番窓口のほうでお待ちください」と言われますので、そちらのほうのベンチに掛けて待ちます。待ち時間は状況によりますが、混んでいなければ15分程度で自分の番号が呼ばれます。自動車検査証、自動車検査証記録事項、登録事項等通知書の3点の書類が渡され、次はB棟で自動車税の申告をしてくださいと言われます。

③ B棟(東京都自動車税事務所)にも書類を提出します
B棟に移動。最初にC棟で渡された「自動車税(環境性能割・種別割)申告書(報告書)」を、記入台にある記入例を見ながら記入します。氏名や住所など、記入箇所はそんなに難しい内容ではありません。これを窓口に提出すると、すべての手続きが完了です。

 

なぜ自動車税の申告が必要なのか

ここで、もともと自分が自動車税を支払っていて、これからも自分が支払うことに変更がないのだから、わざわざ自動車税の申告をする必要はないのではないか、と思いませんか?
たしかに、名義変更する前も、名義変更したあとも、自動車税を支払うのはあなたです。何が変わるのかというと、あなたの立場が変わるのです。じつは、本来、自動車税の支払い義務者は所有者なのです。ただし、ローンで購入した場合の支払い義務者は所有者であるファイナンス会社ではなく、使用者が支払うことになっています。ファイナンス会社の所有権留保を解除することで、原則通り、所有者が支払い義務者となり、次回からあなたは、所有者として自動車税を支払うことになります。その変更の事実を自動車税事務所に届け出ることが必要なのです。

 

自分で手続きをするメリットとデメリット

以上、自分で名義変更手続きをする方法を見てきました。そんなに難しくはないです。

手続きに要する時間は、おおよそ1時間くらいです。時期や時間帯によっては混み合うこともあるため、それ以上に時間がかかることがあります。行き帰りの時間もありますので、半日はつぶれると思っておいたほうがよさそうです。

なお、初めて陸運局に行くと、勝手がわからず、ちょっとした疑問が湧いたりするものです。たとえば、ファイナンス会社が作成した委任状の「受任者」欄が空欄になっているけれども、自分で書いてしまっていいのか?とか、申請書は鉛筆で書いていいのか?などなど。そんなとき気軽に聞けるコンシェルジュみたいな職員がロビーにいてくれると助かるのですが、窓口の職員のみなさんは忙しそうに働いていますので、聞けるような雰囲気はなく、素人の申請者はまごまごして、変な汗をかいてしまうかもしれません(笑)

ここで、自分で名義変更するメリットとデメリットをまとめてみましたので、ご参考にしてください。

メリット 

☆ 第三者に支払う費用がかからず、印紙代500円だけで済む

 

デメリット

① 平日の昼間に仕事を休んで足を運ぶ必要があり、半日はつぶれる

② 陸運局の窓口で、まごまごして変な汗をかくかもしれない

 

まとめ


名義変更手続きは決して難しい手続きではありませんので、興味と時間さえあれば自分でやってみるのも面白いと思います。
一方、費用さえかければ面倒なことはすべて専門家に任せることができ、変な汗をかくこともありませんし、時間を取られることもありません。日々忙しいかた、面倒なことはしたくないというかたは、ディーラーや行政書士に任せてしまうのもいいかもしれませんね。

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