渋谷区で飲食店をオープンするときには、飲食店営業許可を取る必要があります。この営業許可は、食品衛生法にもとづき、飲食物を提供する事業者に対して、安全で衛生的な環境を確保するために義務づけられているものです。
以下に、渋谷区で飲食店の営業許可を取得するための具体的な手続きや注意点について解説します。
目次
飲食店の開業に必要な手続き
飲食店の営業許可は、お店の所在地を管轄する保健所で取得することができます。この許可を取ることで法律的に飲食店の営業が可能になります。ただし、許可が下りるまでには、事前の準備や書類の作成、設備の確認など、さまざまなステップを踏む必要があります。
営業許可を取得するための要件
飲食店の営業許可を取得するためには、保健所に申請書類を提出しなければなりませんが、その前提として、法律の基準に沿った設備を整え、資格を取る必要があります。
①施設の構造と設備
施設の構造と設備が衛生基準を満たしていることが必要です。以下は、飲食店に求められる設備の要件の一例です。
・汚染防止:排水や廃棄物による汚染と、昆虫などの侵入を防止できる設備
・手洗設備:水栓は、手洗い後の手指の再汚染が防止できる構造であること
・冷蔵または冷凍:食品を衛生的に取り扱うために必要に応じた設備
②食品衛生責任者
飲食店を運営するには、「食品衛生責任者」の資格を持った人が1名必要です。食品衛生責任者とは、食品の安全性を確保するために、衛生管理をおこなう責任者のことです。食品衛生責任者になれるのは以下の資格がある人です。もし、栄養士や調理師、食品衛生管理者などの資格を持っている人がいない場合でも、食品衛生責任者の資格を取得するための講習を受けることで、食品衛生責任者になることができます。講習の受講方法については、下記、渋谷区のホームページをご参照ください。
・栄養士、調理師、製菓衛生師など
・食品衛生管理者または食品衛生監視員となることができる資格を有する者
・食品衛生責任者の資格取得のための養成講習会修了者
飲食店営業許可取得までの流れ
①保健所に事前相談
お店の着工前に、お店の所在地を管轄する渋谷区の保健所に行って、事前相談をする必要があります。事前相談では、営業許可を取るにあたって、備えておかなければならない設備や、そろえる必要がある書類などについて、具体的なアドバイスを受けることができます。ここでアドバイスを受けることで、あとから追加で工事をしなければならなくなるといったことを防ぐことができます。
②保健所に申請書類を提出
以下の書類がそろったら、保健所に持参して提出します。営業許可申請書については、保健所に置いてありますが、渋谷区保健所のホームページからダウンロードすることもできます。
Ⅰ 営業許可申請書・営業届
Ⅱ 施設の構造および設備を示す図面
Ⅲ 食品衛生責任者の資格を証明するもの
Ⅳ 水質検査成績書の写し
Ⅴ 登記事項証明書(法人のみ)
③手数料の支払いと検査日の日程を打ち合わせ
申請書を提出する際、営業許可申請手数料として18,300円を納入します。窓口において現金、または、LINE Payで納入することができます。また、保健所による検査の日程についても、このとき打ち合わせをします。
④保健所による確認検査
申請時に決めた日程にしたがって、保健所の職員がお店を訪れて検査をします。営業者本人の立ち会いが必要です。この検査では、設備が必要な基準を満たしているか、衛生状態が保たれているかどうかを確認します。もし基準を満たしていなかった場合は、改善したうえで、あらためて検査を受けることとなります。
⑤営業許可書の交付
検査の結果、必要な基準を満たしていた場合は、その場で「営業許可書交付予定日のお知らせ」という書面をもらいます。そこに記載のある交付予定日以降に、保健所の窓口に行って営業許可書を受け取ります。原則、交付予定日は検査日から5営業日以降になります。
飲食店営業許可の取得までにかかる期間
申請書を提出してから、保健所による検査までに1週間程度、検査から営業許可書の交付までが1週間程度かかりますので、申請書の提出から2週間程度で営業許可書を取得することができるでしょう。ただし、まず図面を用意し、事前相談をし、必要な設備を確認したうえで工事をすることになりますので、ここまででもかなりの時間を要します。食品衛生責任者講習をこれから受ける場合はさらに時間がかかります。ですので、本当に時間がかかるのは申請書を提出するまでだと言えるかもしれません。設備などに不備があると開業が遅れてしまいかねませんので、時間に余裕を持たせて、準備はきっちりとしておきたいところです。
渋谷区で飲食店を営業する際の注意点
渋谷区、とくに渋谷駅周辺は人気のスポットです。外国からの観光客もたくさん集まっていて活気がありますね。それだけに、みんながトラブルなく安全に楽しく過ごせるよう、渋谷区が独自に設けているルールなどがあります。お店の営業に関係のありそうなものを以下に挙げておきましたので、ご参考にしてください。
・喫煙
お店の中での喫煙については、健康増進法および東京都受動喫煙防止条例によって、令和2年4月1日以降、すべての施設において、原則、禁煙です。また、屋外であっても、指定された場所以外の公共の場所では、渋谷区内全域で喫煙が禁止されていますので、お客さんが道路に出て喫煙したりしないよう注意が必要ですね。
・路上飲酒
飲酒については、令和6年10月1日から条例が改正され、渋谷駅周辺の指定された地域においては、午後6時から翌朝5時まで、路上での飲酒が禁止されています。以前はハロウィーンの期間などに限っていましたが、通年で禁止されることになりました。お店の営業に直接は関係ないですが、知っておいたほうがいいかもしれません。
・騒音
騒音についても条例で制限があります。飲食店営業においては、防音対策を施したお店などを除いて、23時から翌6時までの間は、カラオケなど大きな音の出る装置の使用はできません。
まとめ
以上、渋谷区で飲食店をオープンするときの営業許可の取り方を見てきました。飲食店営業許可は、法律にもとづいた手続きですので、日本のどこでも基本的にやり方は同じです。ただし、細かいルールは各自治体によって異なりますので、実際に営業許可を取ろうと思ったときは、都道府県や市区町村のホームページを確認し、わからないことがあれば、保健所に聞いてみるとよいでしょう。
行政書士にできること
行政書士は、保健所に提出する書類の作成や、提出の代理をすることができます。書類作成や、保健所とのやりとりにはそれなりの時間がかかりますので、ご自身が開店準備にじっくり集中して素晴らしいお店をつくるためにも、営業許可申請を行政書士に任せてしまうことを検討してみてはいかがでしょうか。
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