外国人を雇いたいと考えている会社の皆さん、「特定技能」という在留資格をご存じですか?これは、日本で人手不足が深刻な特定の業種において、外国人労働者が働くための在留資格です。今回は、会社が「特定技能」の外国人を雇うために必要な 在留資格認定証明書の申請方法 や、雇用後にやるべきこと、注意点について、わかりやすく説明します!
目次
1.特定技能とは?
「特定技能」とは、日本の人手不足を補うために、一定の技能と日本語能力を持つ外国人に与えられる在留資格です。現在、以下の16業種で外国人が働くことができます。
特定技能1号で働ける16業種
1.介護
2.ビルクリーニング
3.工業製品製造業
4.建設
5.造船・船舶工業
6.自動車整備
7.航空
8.宿泊
9.自動車運送業
10.鉄道
11.農業
12.漁業
13.飲食料品製造業
14.外食業
15.林業
16.木材産業
特定技能1号で働く場合、各分野ごとの技能評価試験に受かっていること、および一定以上の日本語能力があることが必要になります。過去に技能実習2号を良好に修了している場合は技能評価試験は免除となります。また、日本語の能力は日本語能力試験の結果で判断されますが、各分野ごとに求められる水準が異なります。ほとんどの分野ではN4以上とされていますが、介護や鉄道など、より高い能力であるN3が求められる分野もあります。
なお、特定技能1号の場合、在留期間は通算で5年までという制限があり、家族の帯同は認められませんが、特定技能2号では、更新の回数に制限がなく、また家族の帯同も認められます。技能評価試験にパスする必要はありますが、必ずしも特定技能1号から始める必要はなく、いきなり特定技能2号を取得することも可能です。
2.特定技能の外国人を雇用する全体の流れ
特定技能の外国人を海外から雇用するには、以下のステップを踏む必要があります。
1.人材を見つける
現地の送り出し機関・求人サイト・人材紹介会社を利用
2.本人に対して事前ガイダンス
労働条件や仕事の内容、入国手続き等について対面またはテレビ電話等で説明
3.雇用契約を結ぶ
給与・勤務時間・仕事内容などを決める
4.各分野の特定技能協議会に加入する
初めて特定技能の外国人を受け入れる場合は協議会に加入する必要があります
5.支援計画など受け入れ準備をする
住居の手配、日本での生活サポートを計画
6.登録支援機関への委託を検討
支援計画を外部に委託することができるので、その場合は委託契約を締結
7.在留資格認定証明書(COE)を申請
出入国在留管理庁に必要書類を提出
8.COEが交付されたら本人に送る
本人が自国でビザを申請
9.日本に入国したら受け入れ対応
空港での迎え、住民登録、銀行口座開設などをサポート
10.雇用開始後のサポートを行う
日本語学習の機会提供、生活相談、入管への報告
3.海外の特定技能人材を探す方法
海外の外国人を特定技能人材として採用するルートはおもに2つあります。
①国内の人材紹介会社を利用する
特徴
・すでに特定技能試験に合格した人材を紹介してもらえる
・書類作成などのサポートが受けられる
②現地の求人サイトを活用する
特徴
・コストが抑えられる
・自社の条件に合う人材を直接募集できる
4.事前ガイダンス
お互いに「こんなはずではなかった!」というトラブルにならないためにも、採用する前に労働条件や仕事の内容、入国手続きなどについて、しっかり説明しておく必要があります。対面またはテレビ電話などでおこなうことが望ましいです。
3.雇用契約を結ぶ(給与・勤務条件の決定)
特定技能の外国人を雇う際は、以下の点などを決めて雇用契約を結びます。
給与:日本人と同等以上にする必要あり
勤務時間:週40時間以内(労働基準法に準拠)
休日・残業手当:労働基準法に基づいて設定
社会保険の加入:健康保険・厚生年金・雇用保険に加入
支援計画:外国人が安心して働けるよう、生活サポートを準備
4.協議会に加入する
特定技能の外国人を雇用する会社は事前に協議会に加入しておく必要があります。
協議会とは?
各業種ごとに設置されている団体で、関係省庁や業界団体などから構成されており、制度や情報の周知、法令遵守の啓発、課題の共有などをおこなっています。
協議会に加入しないとどうなる?
加入しないと、特定技能の外国人を雇うことができません!
加入せずに特定技能の外国人を雇うと、入管の審査が通らず、在留資格が認められません。
どの協議会に加入すればいいの?
協議会は特定技能の分野ごとに分かれているため、会社が該当する業種の協議会に加入します。業界ごとの協議会の詳細は、まず、どの業種がどこの省庁の所管かを下記外務省のホームページで調べたうえで、各省庁のホームページに見に行くと詳細が確認できます。
4.支援計画の策定
外国人が来日後に安心して働けるように、生活環境の準備や支援を行います。そのための準備を事前にしておく必要があります。支援は受け入れ機関がやることができますが、どうしても人手が足りないなど、自社でやることが難しい場合は、登録支援機関に委託することができます。委託した場合は、入国後の本人への支援を任せることができるので安心です。登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関名を申請書に記入する必要がありますので、あらかじめ委託しておく必要があります。
5.在留資格認定証明書(COE)の交付を申請
日本に入国するためには 「在留資格認定証明書(COE)」 の交付を地方出入国在留管理庁に申請し、交付を受ける必要があります。
(1)必要な書類を準備する
外国人本人が用意するおもな書類
・パスポートのコピー
・特定技能試験の合格証
・日本語能力試験の証明書
・履歴書 など
会社側が用意するおもな書類
・雇用契約書
・会社の登記事項証明書
・直近の決算書
・支援計画書 など
(2)管轄の出入国在留管理局へ申請
会社(または申請取次人)が地方出入国在留管理局に申請します。
審査には 1~3ヶ月 かかることが多いです。
(3)COEが交付されたら、外国人に送る
メールで送ることできる場合があります。
(4)外国人がビザ申請
外国人は自国の日本大使館・領事館で査証(ビザ)申請 を行い、就労ビザを取得します。
6.日本に入国後の支援
来日した外国人が安定的、円滑に特定技能活動ができるように、職業生活面、日常生活面、社会生活面において支援をおこなう必要があります。
1.出入国の際の送迎
出入国時の空港までの送迎
2.住居の手配
会社の寮、賃貸住宅を用意
初期費用は会社が負担する場合も多い
3.生活オリエンテーション
ごみ出しのルール
交通機関の利用方法
病院の行き方 などを説明
4.公的手続き等への同行
必要に応じて社会保障、税金などの手続きに同行して補助
5.日本語学習の機会提供
オンライン学習、夜間の日本語教室などを案内
6.相談窓口の設置
仕事や生活で困ったときの相談相手を決める
7.日本人との交流促進
自治会など地域住民との交流の場やお祭りなどの行事への参加の補助など
8.転職支援
受け入れ側の都合による雇用契約解除の場合、転職先を探す手配など
9.定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者が本人やその上司と定期的に面談し、労働基準法違反等があれば通報
7.雇用開始後のサポートと報告義務
3か月ごとに入管へ報告
雇用状況を 3か月ごとに出入国在留管理庁へ報告する義務があります。
8.まとめ
以上、さっくりではありますが、特定技能の外国人を雇用する流れを解説してきました。初めて特定技能の外国人を雇用する場合、慣れない手続きで不安もありますが、事前にしっかり準備をすればスムーズに進められます。
ぜひ、この流れを参考にして、すばらしい人材を獲得してくださいね!