最近、日本で暮らす外国人の方々や企業の採用担当者様の間で、ある「ニュース」が大きな関心事となっています。
それは、2027年にも予定されている「在留手続き手数料の大幅な値上げ」についての報道です。
主要メディアが報じたところによれば、2026年の通常国会に提出される法案によって、これまでの在留資格の変更・更新にかかる手数料が、現行の6,000円から3万~4万円程度(在留期間によって変動あり)に、また、永住許可申請にいたっては、現行の1万円から20万円程度へと大幅な値上げが予定されています。
このニュースを耳にして、「将来、永住権を取りたいけれど、今すぐ動くべきだろうか?」と迷われている方も多いのではないでしょうか。今回は、この制度改正という大きな波を前に、私たちがどう賢く立ち回るべきかを整理してみたいと思います。
目次
1. なぜ今、永住申請が注目されているのか
ビザの更新や変更は、値上げがあろうがなかろうが、期限が来たらやらなければならない手続きですが、永住申請は少し違います。永住権は、要件を満たしたタイミングで、自らの意思で「いつ申請するか」をある程度コントロールできるものだからです。
だからこそ、2027年の大幅値上げを控えた今は、ご自身のこれまでの日本での歩みを振り返り、「人生の次のステップを前倒しで検討する絶好のタイミング」と言えるのです。
2. 手数料値上げ前に申請を済ませる「3つの実質的なメリット」
値上げ前に申請を済ませる理由として、「安いうちに済ませたい」という経済的な理由がもちろん一番大きいと思いますが、プロの視点で見ると、値上げ前の申請にはその他にも「見えないメリット」があります。
① 家族での申請なら、家計への負担が数十万円単位で変わる
永住申請を検討されている方の多くは、配偶者やお子様と一緒に申請することを考えられています。例えば、家族4人で同時に永住を申請する場合、現行の手数料(許可時)は合計4万円で済みますが、もし1人20万円に値上がりすれば、合計で80万円を超える出費となります。この差額は、新しい生活の準備や教育資金に回せるほどのとても大きな金額です。
② 新制度導入直後の「審査の揺らぎ」を回避できる
手数料の大幅な改定は、単なる値上げにとどまらず、入管庁の審査体制やシステムが刷新されるタイミングでもあります。過去の例を見ても、制度が大きく変わる直後や移行期には、審査の実務運用が一時的に慎重(厳格)になったり、予期せぬ追加資料を求められたりして、審査期間が長期化する傾向があります。「これまでのルール」のうちに申請を完了させることは、手続き上の大きな安心感にも繋がります。
③ 2026年末に予想される「駆け込みの大混雑」を先回りする
2027年の値上げが目前に迫る2026年の年末から2027年の年初にかけては、全国の入管窓口で凄まじい「駆け込み申請」が予想されます。申請が集中すれば、通常でも数ヶ月から1年近くかかる永住審査の期間が、さらに延びてしまう恐れがあります。今から余裕を持って準備を始めることは、混雑に巻き込まれず、一日も早く「永住者」としての安定した資格を手に入れるための賢い選択です。
手数料の値上げという「期限」が設定されると、どうしても焦りが生じがちです。しかし、永住申請において最も避けるべきは、準備不足のまま申請して「不許可」の記録を残してしまうことです。
一度不許可になると、その理由は入管のデータベースに克明に記録され、次回の申請難易度は格段に上がります。値上げ前のチャンスを活かすからこそ、「ただ出す」のではなく「勝てる状態で出す」ための戦略が必要です。
3. 確実に勝ち取るための3つのポイント
手数料を浮かせるために急いだ結果、不許可になって再申請にまた数万円(改定後なら数十万円)を払うことになっては本末転倒です。確実性を高めるためには、以下の3つのポイントを徹底的に精査する必要があります。
① 「公的義務」の完璧なセルフチェック(税金・年金・保険)
今後、永住許可の審査が厳格化されることが予定されており、入管は「公的な義務を果たしているか」をこれまで以上に厳しく見ています。
・支払いの「遅延」はないか
1日でも支払期限を過ぎた記録があると、それだけで不許可のリスクが生じます。
・過去5年分の連続性
直近だけでなく、過去数年にわたって適正に納付されているか。もし未納や遅延がある場合は、「今すぐ出す」のではなく、「実績を積み上げてから出す」という戦略も考える必要があります。
② 過去の全申請データとの「整合性」
永住審査では、あなたが過去に提出したすべての在留資格変更・更新の書類と照らし合わせが行われます。
・家族構成や住所歴の矛盾
過去の書類で書いた内容と、今回の永住申請の内容に食い違いはないか。
・職務内容の連続性
「技術・人文知識・国際業務」などの資格で働いてきた実態と、今回の申請内容が論理的に繋がっているか。「過去との整合性」を徹底的に洗い出し、疑念を抱かせない書類構成を組み立てる必要があります。
③ 審査官を納得させる「理由書」の戦略的作成
永住申請において「理由書」は、あなたの日本での歩みと未来への貢献をアピールする唯一のプレゼン資料です。
・なぜ日本に永住したいのか
単なる「便利だから」ではなく、日本社会への定着性や貢献度を法的・客観的エビデンスに基づいて記述します。
・懸念点への先回り解説
例えば、転職直後で年収が一時的に下がった時期がある場合など、マイナスに見える要素をどうポジティブに解釈させるか。この「先読みの論理」こそが、許可率を左右します。
4. 【企業担当者様へ】社員の永住取得を支援する「見えないリターン」
優秀な外国人社員から「永住権を取りたいので、会社に協力してほしい」と相談された際、それを「個人のプライベートな手続き」として終わらせるのは、非常にもったいないことです。2027年の値上げを前に、会社として永住取得をバックアップすることには、経営上の大きなメリットがあります。
・「離職リスク」の低減
永住権を得た社員は、ビザの更新期限や転職に伴う資格変更の不安から解放されます。日本での生活基盤が安定することで、中長期的なキャリア形成を社内で描きやすくなり、結果として「他社への流出」を防ぐ強力な引き止め策となります。
・コンプライアンス管理の「永久的なコストカット」
数年ごとに発生する在留期限の管理、更新手続きのサポート、そして万が一の「更新ミス」による不法就労リスク。社員が永住者になれば、これらの管理コストと法的リスクは、その社員に関しては将来にわたってゼロになります。
・優秀な人材への「最強の福利厚生」
手数料が20万円近くに跳ね上がるかもしれない中で、会社が申請費用の一部を補助したり、専門家のコンサルティング機会を提供したりすることは、金銭以上の「大切にされている」という実感を与えます。これは、グローバル採用市場における貴社の「選ばれる理由」を強化することに他なりません。
5. 最適解を一緒に考えます
手数料の値上げというニュースは、確かに私たちを焦らせるかもしれません。しかし、これは「自分の将来を見つめ直す、良いきっかけ」でもあります。
永住申請を専門家に任せたいと考えていらっしゃる方はもちろん、永住許可を取りたいけれど取れるかどうか不安に思っていらっしゃる方も、一度当事務所にご相談ください。「今、申請すべきか。それとももう少し待って条件を整えるべきか」 その判断も含めて、法的リスクを最小限に抑えながら、お客様(あるいは貴社の社員様)にとっての最適解を共に探します。
★永住権の取り方については、こちらの記事もあわせてご参照ください。
【入門】就労ビザから永住権を取得するための要件・書類・流れを解説



