外国人雇用の可能性を広げる「身分系」ビザの違いを解説

「外国人採用」と聞くと、多くの人事・採用担当者の方が、大学で専門分野を学んだ外国人を採用するための「技術・人文知識・国際業務」ビザを思い浮かべることと思います。確かにこれは王道であり、多くの企業で活用されている重要な在留資格です。

しかし、採用候補となる外国人の在留資格は他にもあり、日本人と同様に、全く制約なく働くことができる外国人も数多く日本に在留しています。それが、「身分・地位に基づく在留資格」(いわゆる「身分系ビザ」)を持つ方々です。

この身分系ビザを持つ方々を貴社の採用ターゲットに含めることは、これまで出会えなかった優秀な人材を獲得するための、新たな視点となるのではないでしょうか。

この記事では、4種類ある「身分系ビザ」とはどのような在留資格なのか、具体的にどのような人々が対象となるのか、また、これらの方々を採用するときのポイントなどについて解説いたします。

 

1. 在留資格「永住者」(Permanent Resident)

どんなビザ?

文字通り、日本に永住する権利を国から認められた外国人に与えられる、最も安定的で強力な在留資格だと言えるでしょう。国籍は外国のままですが、日本での社会生活において、選挙権など一部の権利を除き、日本人とほぼ同等の地位が保障されます。就労の制限がなく、在留期間の期限もないため、更新が不要です。「ビザが更新できるだろうか」という不安から完全に解放されます。

どんな人が対象?

「永住者」になるためには、非常に厳しい審査をクリアする必要があります。そのため、この在留資格を持つ方は、長年にわたり日本社会に貢献し、安定した生活基盤を築いている人物であると公的に認められている、と言えます。

主な対象者は、以下のような方々です。

長期間、日本で真面目に働いてきたビジネスパーソン

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで原則10年以上日本に滞在し続け、その間、安定した収入を得て、税金や社会保険料をきちんと納付してきた実績を持つ人。

日本人や永住者と結婚し、長く安定した家庭を築いている人

日本人や永住者と結婚して数年間、正常な婚姻生活を継続し、日本に生活基盤がある人。

日本への貢献度が高いと認められた人

「高度専門職」ビザで滞在し、日本の産業や研究分野に大きく貢献していると認められ、特例として短い滞在期間(1年または3年)で永住を許可された人。

採用する上でのポイント

「永住者」の候補者は、長期間の日本での就労・生活経験を通じて、日本のビジネス文化や社会ルールへの理解度が非常に高い即戦力です。採用できれば、ビザの心配が一切なく、企業の核となる人材として長期的に活躍してくれる可能性を秘めています。

 

2. 在留資格「日本人の配偶者等」(Spouse or Child of Japanese National)

どんなビザ?

日本人との強い身分関係に基づいて与えられる在留資格です。このビザを持つ目的は「日本人と家族として日本で生活すること」であり、その結果として、職業選択の自由が認められています。更新の必要はありますが、就労に関する制限はありません。

どんな人が対象?

以下の3つのケースが該当します。

日本人の配偶者(夫または妻)

法律上の婚姻関係にあることが大前提です。単なる恋人や婚約者、内縁関係では認められません。入管の審査では、偽装結婚ではないことを証明するため、交際の経緯や夫婦間のコミュニケーション、生計状況などが厳しく審査されます。

日本人の「実子」として出生した人

父親または母親が日本人である子供です。出生時に日本国籍を取得しなかった場合や、後に日本国籍を離脱した場合などが該当します。

日本人の「特別養子」

日本の民法に基づいて「特別養子縁組」が成立した養子です。

 

採用する上でのポイント

この在留資格を持つ方は、配偶者である日本人を通じて、日本社会に深く根差した生活を送っている場合が多いです。日本人と同様の感覚でコミュニケーションが取れる人材も多く、就労意欲の高い方が見つかれば、職種を問わず貴重な戦力となります。ただし、万が一離婚した場合は、ビザの更新ができなくなるという点には留意が必要です。

 

3. 在留資格「永住者の配偶者等」(Spouse or Child of Permanent Resident)

どんなビザ?

上記の「日本人の配偶者等」と非常によく似ていますが、こちらは「永住者」または「特別永住者」との家族関係に基づいて与えられる在留資格です。更新の必要はありますが、就労に関する制限はありません。

どんな人が対象?

以下の2つのケースが該当します。

「永住者」または「特別永住者」の配偶者(夫または妻)

「永住者」ビザを持つ外国人と法律上の婚姻関係にある人です。こちらも、結婚の信憑性や安定性が厳しく審査されます。

「永住者」または「特別永住者」の子として日本で出生した人

永住者である親から、日本で生まれた子供がこの対象となります。

採用する上でのポイント

「日本人の配偶者等」と同様に、日本にしっかりとした生活基盤を持つ方が多いです。家族ぐるみで日本に定住しているため、長期的な視点でキャリアを考えている人材が多い傾向にあります。こちらも、離婚した場合はビザの更新ができなくなるリスクは同様に存在します。

 

4. 在留資格「定住者」(Long-Term Resident)

どんなビザ?

他のどの在留資格にも当てはまらないものの、法務大臣が特別な理由を考慮して、日本に居住することを認めた外国人に与えられる、少し特殊な身分系ビザです。更新の必要はありますが、就労に関する制限はありません。

どんな人が対象?

対象者は非常に多岐にわたりますが、代表的なのは以下のようなケースです。

日系3世など、日本人の血を引く人

祖父母が日本人である日系3世や、その配偶者などが該当します。

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」だったが、離婚・死別した人

日本人や永住者と離婚・死別した後も、一定の条件(婚姻期間、子供の有無など)を満たし、日本に定住する必要性が高いと認められた場合に、この「定住者」ビザへの変更が許可されることがあります。

日本人や永住者などに扶養されて生活する未成年・未婚の実子

例えば、日本人と再婚した外国人の連れ子などが該当します。

難民認定を受けた人

日本の政府から難民として公式に認定された人も、「定住者」として在留が認められます。

 

採用する上でのポイント

「定住者」は、その背景が非常に多様です。日本で生まれ育った方から、最近来日した方まで様々ですが、共通しているのは「日本に住み続ける特別な理由」を国から認められている点です。この在留資格も就労制限はありません。「永住者」とよく似た名称ですが、「永住者」とは異なり、在留期間の定めがあるため、採用時には在留カードの有効期限を確認し、本人に更新の意思があるかを確認することが重要です。

 

5. まとめ

「身分系ビザ」と一口に言っても、それぞれの在留資格がどのような背景を持つものなのかはさまざまです。背景やその在留資格でできることの違いをよく理解したうえで、採用活動を進めることが大切ですね。

面接の際に、在留資格について尋ねることは全く失礼にはあたらないと思います。むしろ、「あなたの在留資格は就労制限がないものと理解していますが、念のため在留カードで確認させていただいてもよろしいですか?」と丁寧に確認することが、適法な雇用と、お互いの信頼関係の第一歩となるのではないでしょうか。

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