「在留期限まであと1週間しかないのに、入管からハガキが届かない!」 「申請中に在留カードの日付が過ぎてしまった。明日から不法滞在になってしまうの?」
ビザ(在留資格)の変更申請や更新申請を行っている最中に、このような不安に襲われたことはありませんか? 特に入管が混雑する年末や年度末は、審査期間が長期化しやすく、結果が出る前に在留期限(満了日)を迎えてしまうケースが多々あります。
結論から申し上げますと、申請さえ受理されていれば、結果が出る前に在留期限が過ぎても、オーバーステイ(不法滞在)にはなりません。
日本の入管法には、審査中の外国人の身分を守る「特例期間」という制度があるからです。しかし、この期間中には「やってはいけないこと」や「期限の限界」も存在します。 この記事では、知っておかないとビザを失いかねない「特例期間のルール」を徹底解説します。
目次
1. 「特例期間」とは何か?
1. 魔法の「2ヶ月ルール」
正式名称は「在留期間の特例」(入管法第20条第6項など)と言います。
これは、在留期限までに更新や変更の申請を行った場合、「本来の在留期限が過ぎた後も、適法に日本に滞在し続けることができる」という制度です。
具体的には、以下のどちらか早い時まで、今のビザが有効なものとして扱われます。
-
審査の結果(許可または不許可)が出た日
-
本来の在留期限から「2ヶ月」を経過する日
つまり、在留カードの日付が切れても、自動的に「最大2ヶ月間の猶予」が与えられるのです。この期間中は、警察官に在留カードを見せて「期限が切れていますね」と言われても、「裏面に『申請中』のスタンプがあります。今は特例期間中です。」と答えれば、何の問題もありません。
2. 誰が対象になるのか?
以下の条件をすべて満たす人が対象です。
-
申請のタイミング:在留期間の満了日(期限当日)までに申請が受理されていること。
-
申請の種類:「在留期間更新許可申請」または「在留資格変更許可申請」であること。
-
※「在留資格認定証明書交付申請(呼び寄せ)」や「資格外活動許可申請」だけでは対象になりません。
-
-
在留資格の種類:「短期滞在」以外のビザを持っていること。
-
※「短期滞在(観光ビザなど)」からの変更申請の場合、特例期間が適用されないケースがあるため注意が必要です(原則は短期滞在の期限内に結果が出なければ出国が必要)。
-
2. 特例期間中の「仕事」と「海外渡航」
「ビザが切れている状態(特例期間)」で、これまで通りの生活をしていいのでしょうか?
1. 仕事(アルバイト)はしてもいい?
基本的にはOKです。 特例期間とは、「従前の在留資格をもって在留する」期間とみなされます。つまり、前のビザの効力がそのまま伸びている状態です。
-
更新申請(同じビザの延長)の場合: これまで通り働いて問題ありません。
-
変更申請(別のビザへの切り替え)の場合: ここが注意点です。あくまで「変更前のビザの活動」が認められているだけです。
-
例:「留学」→「就労」へ変更申請中の場合
-
OK:留学生としてのアルバイト(週28時間以内)。
-
NG:新しい就職先でのフルタイム勤務(まだ許可が出ていないため)。
-
-
例:「技術・人文知識・国際業務」→「転職して別の会社」へ変更申請中の場合
-
新しい会社での業務内容が現行ビザの範囲内であれば就労可能ですが、もし不許可になった場合のリスクがあるため、実務上は「許可が出るまで待機」が推奨されます。
-
-
2. 一時帰国(海外旅行)はしてもいい?
可能です。 特例期間中であっても、「みなし再入国許可」を使って日本を出国し、再入国することができます。
【重要】ただし、リスクがあります! もし海外にいる間に、入管から「結果が出たので〇月〇日までに来てください」という通知が来たり、あるいは「2ヶ月の特例期間の最終日」が来てしまったりした場合、日本に戻れなくなる(ビザが消滅する)可能性があります。
特例期間中に海外に行く場合は、「必ず2ヶ月の期限内に、余裕を持って戻ってくること」が絶対条件です。ギリギリの日程での渡航は避けてください。
3. 絶対に気をつけるべきポイント
特例期間は便利な制度ですが、運用を間違えると命取りになります。
1. 2ヶ月を1日でも過ぎたらオーバーステイ
特例期間は「審査が終わるまで無限に伸びる」わけではありません。「最長2ヶ月」です。
万が一、申請から数ヶ月経っても結果が出ず、特例期間の満了日(元の期限から2ヶ月後の日)が近づいてきたら、必ず入管に連絡し、窓口に行ってください。 入管のミスや審査の遅延であっても、2ヶ月を過ぎれば法律上は不法滞在になってしまいます。通常は、その日までに処分(結果)が出されますが、放置は厳禁です。
2. 申請を取り下げたら即座に終了
例えば、「申請中に会社を辞めることになったので、申請を取り下げたい」と思った場合。 申請を取り下げた瞬間、「特例期間」も消滅します。 もしその時点で、元の在留期限がすでに過ぎていた場合、取り下げた瞬間に「ビザがない状態」になります。 取り下げる場合は、同時に「出国準備のための特定活動」への変更を行うなど、別の措置が必要です。
3. 在留カードは期限内に受け取る
「ハガキ(許可通知)が届いた! よかった、これで安心だ」 と油断しないでください。 ハガキが届いた時点では、まだ新しいビザは有効になっていません。入管の窓口に行き、新しい在留カードを受け取った瞬間に更新・変更が完了します。 ハガキが届いていても、窓口に行かないまま「2ヶ月」が経過してしまったら、オーバーステイになります。 通知が来たら速やかに手続きに行ってください。
4. もし「不許可」になったらどうなる?
特例期間中に審査結果が出て、残念ながら「不許可(不交付)」だった場合、「今日から不法滞在だからすぐに出て行け!」となるのでしょうか?
通常は、いきなり収容されたりはしません。 不許可の通知を受けた際、入管の窓口で「出国準備のための特定活動(30日または31日)」というビザに変更させてくれる措置が取られます。 この期間内に荷物をまとめて帰国するか、あるいは再申請の準備をすることになります。
特例期間が認められるのは、31日以上の在留資格を持つ外国人です。「出国準備のための特定活動」として31日が付与された場合には、31日間が経過したあとも、特例期間2ヶ月の猶予を与えるということですので、再申請にチャレンジする価値があるといえます。
一方、「出国準備のための特定活動」が30日とされた場合は、再申請しても不許可となる可能性が高いことを示しており、再チャレンジは難しいものと思われます。
5. まとめ
「特例期間」のポイントをまとめます。
-
期限当日までに申請すれば、自動的に「結果が出る日」か「2ヶ月後」まで適法に日本にいられる。
-
その間、前のビザと同じ活動(仕事やアルバイト)ができる。
-
海外渡航も可能だが、期限内に戻れないとビザを失うリスクがある。
-
「2ヶ月」というデッドラインは絶対。過ぎたらオーバーステイ。
「審査に時間がかかっている」ということは、それだけ慎重に審査されている(あるいは単に入管が混んでいる)ということです。 特例期間の仕組みを正しく理解していれば、在留カードの日付が切れてもパニックになる必要はありません。
ただし、「申請受付票(受理票)」や、在留カード裏面の「在留資格変更許可申請中」のスタンプは、あなたが適法に滞在している唯一の証明です。 特例期間中は、これらを肌身離さず持ち歩くようにしてください。
もし、「一時出国中に結果が出て、期限内に在留カードを受け取れなかったらどうしよう」といった心配がある場合は、初めから、変更許可申請を行政書士に任せておくと安心です。申請を任された行政書士であれば、本人に代わって在留カードを受け取ることができます。
再チャレンジするときにも、入管手続きを専門とする当事務所でご相談を承っています。相談してみた結果、「やはり自分でやることにした」「他の事務所に頼むことにした」となっても大丈夫です。あとからお電話やメールで勧誘することもありませんので、安心してご相談ください。



