ビザ手数料が5倍に― 混乱する前に知っておきたいこと。人事担当者も必読

2026年7月1日から、外国人が日本に入国する際の「ビザ手数料」が引き上げられました。このニュースを見て「え、在留資格の更新費用も上がったの?」と慌てた方もいるかもしれません。あるいは、海外で内定者を待たせている人事担当者の方が「手続きのコストはどう変わるんだろう」と検索している方もいらっしゃると思います。

まず、結論をお伝えします。今回値上げされたのは「査証(ビザ)」の手数料だけであり、日本国内で行う在留資格の変更・更新とは別の話です。 この二つを混同したまま情報を集め続けると、判断を誤る可能性がありますので、ここをしっかり整理するところから解説していきたいと思います。

 

1. 「査証」と「在留資格」は、まったく別物

日本では日常的に「ビザ」という言葉が使われますが、この言葉が指す内容は文脈によって大きく異なります。「留学ビザ」「就労ビザ」「配偶者ビザ」といった表現は、法律上は在留資格のことを指しています。在留資格は出入国在留管理庁(入管)が管理するもので、日本にいる間にどのような活動が認められるかを定めたものです。

一方、今回値上げされた「査証(ビザ)」とは、海外にある日本大使館や総領事館が発給するもので、「この人が日本に入国することを認める」という意味合いを持っています。管轄は外務省であり、入管とは別の組織が別の目的で発行する書類です。

わかりやすく言えば、査証は「日本に入国するための切符」、在留資格は「日本に滞在し、活動するための許可」です。入国する前に査証を取り、入国した後は在留資格に基づいて日本での生活・就労が認められる、という二段階の構造になっています。

今回の改定で値上がりしたのは、入国前に在外公館で取得する「査証」の手数料だけです。 在留資格の変更や更新にかかる費用は、今回の対象外となっています。在留資格の更新・変更手数料については、別途2026年度中を目処に引き上げが予定されていますが、それはまた別の話であり、今回の査証手数料改定とは切り離して考える必要があります。

 

2. 具体的に何がいくら上がったのか

今回の閣議決定によれば、一次入国査証(1回だけ使える査証)は現行の3,000円から15,000円に、数次入国査証(有効期間内に何度でも使える査証)は6,000円から30,000円に改定されました。いずれも5倍の値上げです。外務省ホームページ

この手数料を改定するのは1978年以来およそ48年ぶりのことです。訪日客の増加によるビザ発給コストの膨張と、米欧の水準に合わせる必要性が主な理由とされており、政府は年間で約1,200億円の収入増を見込んでいます。

なお、査証免除措置(ビザなし入国)が認められている国・地域からの短期滞在者には、もともと査証手数料は発生しません。今回の改定が影響するのは、就労・留学・家族滞在など長期在留を目的として査証を取得する必要がある外国人に限られます。

 

3. 企業の人事担当者の方が知っておくべき実務への影響

「査証の話なら、うちには関係ないかな」と思った人事担当者の方もいらっしゃるかと思います。しかし、海外から外国人を採用して日本に呼び寄せる場合、査証の取得は避けて通れないプロセスですので、会社としての対応が迫られることになるかもしれません。

海外在住の外国人を採用して日本で働いてもらうためには、通常、次の流れで手続きが進みます。

まず受入れ企業が入管に「在留資格認定証明書(COE)」を申請します。これは「この外国人を日本で雇うことは在留資格の基準を満たしている」ということを、入管があらかじめ認定した証明書です。在留資格認定証明書が交付された後は、その写し(電子COEの場合は電子データ)を海外にいる本人へ送付し、本人が日本大使館・領事館等で査証申請を行います。査証が発給された後、日本へ入国し、空港で上陸許可を受けることで在留資格が付与されます。

つまり企業が行う「COEの申請」は入管の手続きであり、今回の改定の影響を受けません(COEの申請手数料は現在も無料です)。しかし、COEを受け取った外国人本人が在外公館で行う「査証申請」のステップで、今回の値上げが直撃します。

一次査証であれば12,000円、数次査証であれば24,000円の追加負担が、これまでより生じることになります。 複数人を海外から採用している企業にとっては、決して無視できない金額です。

 

4. 今すぐ対応しておきたい3つのこと

以上を踏まえて、実務上確認しておきたいことを整理します。

①海外内定者への事前説明

 COEが交付された後、本人が査証申請を行う際の費用が変わりました。企業側が費用を負担するかどうかも含め、内定者に対して正確な情報を事前に伝えることが大切です。「聞いていなかった」「思ったより費用がかかった」というトラブルを防ぐためにも、採用段階でのオリエンテーション内容を今一度見直しておきましょう。

②代理申請機関を利用する場合の費用確認

在外公館によっては、認定を受けた代理申請機関(ビザ申請センターなど)を通じて査証申請を行う国もあります。その場合、査証手数料に加えて代理申請手数料も別途発生します。新しい査証手数料をベースにした総費用を、内定者の出身国ごとに確認し直しておくことをお勧めします。

③採用コスト全体の見直し

今回の査証手数料改定に加えて、今後は在留資格の変更・更新手数料の大幅値上げも予定されています。外国人採用にかかるコスト構造が変わりつつある今、更新・変更手数料を会社が負担するかどうかを含め、採用・入国・雇用継続にかかる費用の全体像を整理し、中長期的な予算設計を行っておくことが大切です。

 

5. 「今後の値上げ」も視野に入れておきましょう

今回の査証手数料改定は、外国人関連の手数料見直しの入口に過ぎません。

日本国内で行う在留資格の変更・更新については、現在6,000円の手数料が1万円~7万5000円へと引き上げ、また、永住許可については現在1万円の手数料が20万円への引き上げられる予定となっています。引き上げ後の手数料は、2026年10月から適用する方針であることも入管から示されています。

「査証」「在留資格変更・更新」「永住許可」それぞれで、別々のタイミングで値上げが行われる複層的な改定です。情報が混乱しやすいですが、どの手続きに関する改定なのかを正確に切り分けて把握することが、人事担当者として現場の混乱を防ぐうえで最も重要なことです。

「ニュースで見た」「SNSで流れてきた」という断片的な情報だけで判断せず、今一度、自社の外国人雇用に関わる手続きと費用の全体像を専門家と一緒に整理してみることをお勧めします。

もしわからないことがありましたら、在留資格の申請を専門とする当事務所にご相談ください。初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問合せください。

★永住許可の手数料アップについて、こちらの記事もあわせてご参照ください。
永住許可の手数料が20万円に!今すぐ申請の準備を始めるべき理由

ご相談・お問い合わせ
お電話でのご相談・お問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-20:00(土日祝休み)
メールでのご相談・お問い合わせ

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

    ページトップへ戻る