「JETが終わっても、日本を離れたくない。ここで働き続けたい」
JETプログラムに参加した外国人の方から、こういった声を聞くことがあります。日本語も上達し、地域のつながりもできて、日本での生活がすっかり板についてきたころに任期が終わってしまう。そのとき「ビザはどうすればいいんだろう」と途方に暮れるケースは、決して珍しくありません。
一方、企業の人事担当者の方からはこんなご相談をいただくこともあります。「JETプログラムで来た外国人を採用したいんだけど、ビザの手続きがよくわからなくて」。
この記事は、JET終了後も日本に残って働きたいと考えている方と、JET経験者の採用を検討している企業の方、その両方に向けて書いています。在留資格という観点から、それぞれが知っておくべきことをわかりやすく整理します。
目次
1. そもそも、JETプログラム中の在留資格は何ですか?
JETプログラムとは、外務省・総務省・文部科学省・自治体国際化協会(CLAIR)が協力して運営する、外国青年を日本に招致する事業です。1987年のスタート以来、75か国以上から8万人を超える外国人が参加してきた、世界最大級の国際交流事業といわれています。
JET参加者には3年間の就業ビザが発給され、その在留資格は担当する職務によって異なります。学校等で語学指導を行うALT(外国語指導助手)は「教育」、地方自治体で国際交流業務を担当するCIR(国際交流員)は「技術・人文知識・国際業務」、スポーツ交流を担当するSEA(スポーツ国際交流員)は「技能」という在留資格でそれぞれ在留しています。
任期は原則1年ですが、更新を繰り返して最長3年(特に優れた参加者は最長5年)まで延長できます。
2. JETが終わったら、在留資格はどうなりますか?
ここが最も重要なポイントです。JETプログラムの任期が満了したからといって、自動的に在留資格が消えるわけではありません。しかし、そのまま在留期限を超えて日本にいることもできません。
任期終了後の選択肢は、大きく三つです。
① 帰国する この場合は特に手続きは不要ですが、在留期限を超えた状態での滞在はオーバーステイになりますので、期限内に出国することが必須です。
② 日本で就職し、在留資格を変更する 日本で新しい仕事を見つけた場合、在留資格を新しい職務内容に合ったものに変更する必要があります。これが在留資格変更許可申請という手続きです。変更が許可される前に働き始めることはできないため、転職先が決まったらすぐに手続きを始めることが大切です。
③ 短期間だけ残って就職活動をする 就職先をまだ探している段階であれば、「短期滞在」への変更手続きを行うことで、観光・帰国準備・就職活動のために一定期間日本に滞在することができます。ただし就労はできませんので、注意が必要です。
3. 「日本で就職したい」JET経験者が知っておくべきこと
JET終了後に日本の会社に就職する場合、最もよく使われるのが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。大学を卒業していること(JETの参加条件でもあります)、そして就こうとする業務が専門的知識を必要とするものであることが主な要件です。
ALTとして「教育」の在留資格を持っていた方が、一般企業に転職する場合には在留資格の変更が必要です。一方、CIRとして「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をすでに持っていた方は、同じ在留資格の範囲内での転職であれば変更ではなく所属機関に関する届出のみで済む場合もあります。ただしこれは転職先の業務内容次第ですので、個別に確認が必要です。
JET経験者が転職先として向いている業務は多くあります。外国語を活かした翻訳・通訳・国際営業、教育事業・英語学習サービス、インバウンド対応が必要な観光・ホテル・小売業での企画・管理職、自治体の国際交流部門などです。これらはいずれも「技術・人文知識・国際業務」の範囲で就労できる業務として認められる可能性が高い分野です。
4. 採用を検討している企業の方へ ― JET経験者はなぜ魅力的なのか
企業の人事担当者の方にとって、JETプログラム経験者は非常に魅力的な外国人材です。その理由は明確で、大学卒業以上であること・日本での生活・就労経験があること・日本語能力がある程度身についていること・異文化適応力が高いことが、多くの場合揃っているからです。
さらに、JETプログラムには在日中のインターンシップ制度もあります。製造業・情報通信業・卸売業・小売業・教育業など幅広い業種の企業がインターンの受け入れを行っており、JET参加中の外国人と接点を持つことができます。インターンとして実際に働く様子を見てから採用を決めることができる、非常に実務的な制度です。
JET経験者を採用する際に企業が行うべき手続きは、他の外国人採用と基本的に同じです。候補者がすでに日本に在留しているため、海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書の申請)は不要で、在留資格変更許可申請が中心の手続きとなります。転職先での業務内容と現在の在留資格の整合性を確認したうえで、必要書類を準備して入管に申請する流れです。
一点、注意していただきたいことがあります。在留資格変更の許可が下りる前に就労を開始させてしまうと、会社側も本人も法律違反になります。内定を出した後も、許可が出るまでは働かせてはいけません。採用スケジュールを組む際は、審査にかかる期間(通常1〜2ヶ月程度)を考慮した余裕のある日程を設定してください。
5. ビザ手続きは行政書士に相談するのが近道です
JET終了後の在留資格変更は、適切に手続きを進めれば決して難しいものではありません。しかし、業務内容と在留資格の適合性の判断・必要書類の準備・審査期間を見越したスケジュール管理など、慣れていない方にとってはわかりにくい部分が多いのも事実です。
在留資格の申請手続きを代行できる専門家は「申請取次行政書士」です。本人や企業担当者が入管窓口に出向く必要がなく、書類の準備から提出まで一括してサポートを受けられます。
「今の在留資格のままで転職できるのか」「変更が必要な場合、どのくらい時間がかかるのか」といった疑問をお持ちでしたら、当事務所にご相談ください。在留資格の変更にはある程度の時間がかかりますので、JETプログラム終了のタイミングが近づいてきたら、早めにご相談することをお勧めします。
JET参加者の方も、採用を検討している企業の方も、まずは一度ご相談ください。
★英語の先生として働く場合はどのビザを取ればいいのかについては、こちらの記事をご参照ください。
英語の先生は「教育」ビザ? それとも「技術・人文知識・国際業務」ビザ?



